2017年03月28日

種子法やめるってさ(前篇)

主要農作物種子法が廃止されます。他に衆目を集める話題がいっぱいあるので、ひっそりと廃止されます。農業関係の仕事をしていなければ、あるいはしていても、なじみもないし、興味も薄い法律でしょう。それってばいったい何なの?についてはおいおい話すとして、まず、廃止をするという「法律案」の内容について、衆議院のホームページをみたら思わず吹き出しました。

じゃーん。
最近における農業をめぐる状況の変化に鑑み、主要農作物種子法を廃止する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


扱いが雑(ザツ)ですよね。近頃こういうの多いので、とくに驚きはないんでけども。こんなの誰も気にしないから適当でいいんっじゃねムードがあふれていますね。というわけで、今回と次回は、主要農産物種子法とはなんなのか、そして粛々と廃止されるであろうこの法案に関連して思うところを淡々と書こうと思います。

まず、主要農産物種子法について簡単に説明しておくと、主要農産物すなわちコメ、麦、大豆のタネがちゃんと生産されるように都道府県が責任をもちなさいという法律です。ちゃんと発芽するってのは重要ですが、それだけじゃあありません。タネというものは、クローンじゃないから、厳密には一個一個違います。それでもコシヒカリはコシヒカリであってほしいし、エンレイ(大豆の品種)はエンレイであってほしいとたいがいの人が思っています。その要求にこたえるには、コシヒカリならコシヒカリの性質、エンレイならエンレイの性質を保つため、他の品種と混ざらないように(交雑しないように)タネを生産する必要があるわけです。その辺りをちゃんと監督しなさいよってのが、この法律の趣旨です。さらに、この法律は、各都道府県が奨励品種を決める制度の根拠になっています。法律じたいには「奨励品種」という言葉はでてきませんが、主要農産物種子制度運用基本要綱(農水省通達)に奨励品種を定めるように指示されています。各都道府県ごとにその地にあった品種を定めてそれを農家に作ってもらうようにというありがたい仰せです。奨励品種を作るとJAがちょっとしたひいきをしてくれるし、そもそもコメ・麦・大豆を収穫したあと必要になる乾燥とか調整とかのための設備がない場合、小ロットで奇抜な品種を生産しても困ってしまうので、ふつうは黙って奨励品種をつくります。売るのも大変ですからね。

次に、なぜ廃止するのかについてみていきましょう。さきほどの衆議院ホームページでは、さっぱり訳がわかりませんので、他の資料として、「主要農作物種子法を廃止する法律案の概要」という半ペらをみますと、ようするに、

種子の品質はもう安定しているから、公共機関が管理しなくていいじゃん。むしろ、民間企業が参入する妨げになるし。


とのことです。法律があったればこそ、品質が安定してるんじゃないの?なんて一般人が考えそうなことは考えないところがさすがです。クールジャパンです。そんでもって、我が国で一等クールに違いない現政権のもとで設立された規制改革推進会議の議事録(第2回規制改革推進会議 農業ワーキング・グループ合同会議事録合)に本件に関する議論が見つかります。この議事録によれば、「県の決める奨励品種が、国と県が開発したものに限られていて、民間の参入を妨げているのが、制度的な課題じゃないかと思う」と出席者が言っています。そう思っちゃったんだからしょうがないです。先ほども言ったように法律自体には奨励品種については何も書いてないし、民間の参入を妨げるような条文はひとつもありません。奨励品種については、農水省の通達だけですから、事務レベルでなんとでもできることです。なんてことをいっても、近頃の政治家はそういう議論も嫌いですよね。まあ仕方がありません。

一方、法律廃止について心配されている生真面目な方々は、種子の品質の低下もさることながら、これが廃止になると、世界に4つか5つしかない種子生産大手に牛耳られてしまうんじゃないかとハラハラされているかもしれません。それも遺伝子組み換え作物がばんばん入ってきて自由に食べ物を選べなくなるんじゃないかと。そうかもですね。大方そうなります。仕方がありません。特に業界トップの会社は、秘密主義ですし、すばらしく信用できない会社です。ひかえめに言って。種子の生産をするにあたって、都道府県に管理されるなんてまっぴらごめんだとこの会社ならそういうでしょう。ちなみに、コメや麦で認可されている遺伝子組み換え品種はありません。該当するのは大豆だけ。現在15品種が認可されそのうち8品種はこの会社です。あっそうかー、その会社のために法律廃止するのかーあーぜんぜん気が付かなかったー。

そういえば、ボツになったTPPも、農業関係の内容をみると、遺伝子組み換え食品を加盟国に受け入れさせることを重点においてました。遺伝子組み換え作物の是非については色々意見があるだろうと思いますが、私は嫌いです。嫌いなもんは嫌いです。

失礼。私の好き嫌いはどうでもよいことです。なんのかんの言っても、この法律は来年に廃止されます。そういうわけで、打ちひしがれているのかといえばそうではありません。実をいうと、規制改革推進会議とはぜんぜん違う理由ですが、私もこの法律に問題があると思っていたからです。何が問題なのか。それについて書き始めるとまた長くなりそうなので、次回、後篇にて申し上げたいと思います。


おわび:「3年後に廃止されます」と書きましたが、来年でした。本文は修正しました。申し訳ありませんでした。
posted by ばんばスタッフ at 09:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業一般

2017年03月09日

エンゲル係数が高いのはイヤですか

親譲りのアマノジャクで子供のときから損ばかりしている。北といわれれば南といい、西といわれれば東という。そんな性格は嫌われるので直しましょう。と思いつつなかなか治らない。そんなわけで、少し前に、こんな記事がありまして。「物価上昇に収入追いつかず エンゲル係数“異常上昇”の仰天(日刊ゲンダイDigital)」。記事の内容をざっくりいうと、天候不良で国内産野菜が高騰したのと円安のせいで輸入食品が高くなり、エンゲル係数が大きくなったと。また他の記事、「さらに貧困化する日本人。「エンゲル係数急騰」本当の理由=内閣官房参与 藤井聡」でも、消費増税により収入が実質的に減少したのでモノを買わなくなったが、食品は買わないわけにいかないからエンゲル係数が高くなったと述べています。「どうしてそうなったか」の部分は違うもののどちらもエンゲル係数が高まりつつあることを指摘しています。エンゲル係数というのは、家で使うお金のうち食べ物に使う分の割合で、これが高いと貧乏なのだと中学校で習いました。でもね。エンゲル係数が高いから貧乏かといえば、そうかもしれないぐらいには思うのですが、その反対の「低ければ豊か」となると、もうぜんぜん納得いきません。

話がとびますが、アメリカでは、肥満の割合が人口の36%におよびます。収入の低い層で特に肥満の割合が高いそうです。その理由は、安くてカロリーの高い食べ物、つまり炭水化物中心の食事。こうした食品は、ビタミンやミネラルなどの栄養素があまり含まれません。このため、肥満なのに栄養不足という大変ゆうりょすべき状態です。アメリカのエンゲル係数は20%を切る値です。もちろん、食生活がぜんぜん違いますから、単純な比較は意味がないけど、日本のエンゲル係数がそれぐらいまでぐぐぐっと下がったとき、それが豊かになった証だといわれたら、はなはだ疑問です。

カロリーは足りているのに栄養失調というのは、日本でも実は増えています。肉を好まなくなった高齢の方に特に多いようですが、若い世代でも隠れ栄養失調が増えています。主な原因は、アメリカと同じように、炭水化物ばかり食べ必要な栄養をとっていないこと。そういえば、自分もそうめんばっかり食べてなたあ、昔。コンビニおにぎり、菓子パン、カップラーメン。安くて手っ取り早いから、一人暮らしや忙しい人はそれですませてしまいがちです。その上、支出を抑えたいとなれば、から揚げも食べたいなと思っても我慢してしまう。これからの日本を背負って立つ若いものが云々と説教のひとつもぶちたくなりますね。つまり、栄養のない安いものを食べて食費を下げ、それ以外の消費を増やすのが豊かなのかねと。

結局のところ、エンゲル係数は食べ物の質と価格の関係には無頓着です。安くて栄養が少ないとさっき言いましたが、高いから栄養が多いということもありません。たとえば、玄米を精米にするには、コストがかかり値段があがります。でもヌカをとるってことは、ビタミンB群を取り去ることなので、栄養価の面だけでいえば劣化したことになります。

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こんな装置があればよいのですが

体を動かすためにちゃんと役立つ。これが食べ物にとって重要な「使用価値」であることを否定する人は少ないと思います。しかし、食べ物が豊富にあるこの時代、自分に必要な食べ物を見定めるには多少の知識が必要です。さらに、最近はいろいろまがい物も出回っているので、ちゃんと食べるということがけっこう難しくなりました。かたや、価格というのはとてもとてもわかりやすいです。食べ物について言えば、同じ種類で、同じ重さなら、安い方を手に取りますよね、絶対。でも、もし、「こちらは100円安くなっていますが、ビタミンB1が半分です。」と書かれていたら、ちょっと考えるでしょう?食べ物を選ぶときそれこそが必要な情報です。でもそんなことは書いてない。それじゃ選びようかないじゃないか!もっと情報を出すべきだし、それはメーカーの責任なわけです。と、なんだかブーメランが戻ってきてしまいましたので、今回はこの辺で失礼しようと思います。

posted by ばんばスタッフ at 09:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業一般
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